獣医師コラム Column

愛犬・愛猫の健康診断 | 予防医療で大切な家族の健康を守る

「最近、愛犬や愛猫がなんだか元気がないかも…」そんな風に感じたことはありませんか?犬や猫は言葉で不調を訴えることができないため、日頃のケアや定期的な健康診断がとても重要です。

今回は犬や猫の健康診断について、検査内容や頻度と時期、定期的なチェックの大切さなどをご紹介します。

■目次
1.犬や猫の性格や特徴
2.健康診断の内容と流れ
3.健康診断の頻度と時期
4.まとめ

犬や猫の性格や特徴

犬や猫は、野生だった頃の本能で、弱さを隠す習性を持っています。そのため、見た目は元気そうに見えても、実際には病気が進行している場合があります。

特に高齢の犬や猫では、腎臓病や心臓病、腫瘍といった病気のリスクが高まります。さらに、犬種や猫種によっても発症しやすい病気が異なるため、事前に注意すべきポイントを知っておくことが大切です。

<特定の犬種に多い病気の例>

・ミニチュアダックスフンド:椎間板ヘルニア
・チワワ:心臓病
・柴犬:アトピー性皮膚炎、緑内障

<特定の猫種に多い病気の例>

・メインクーン:心臓病
・スコティッシュフォールド:関節疾患
・アメリカンショートヘアー:腎臓結石

健康診断の内容と流れ

健康診断を行う際の基本的な流れは、以下の通りです。

①問診

飼い主様から普段の様子や気になる症状をヒアリングします。
(例)食欲はあるか、尿や便の様子、吐き気はあるか、痛みや痒みはないかなど

②体重測定

犬や猫の体重を測定します。体格にあった体重かどうか、過去に体重測定をしたことがある場合には急激な増減がないかを確認します。

③体温測定

身体の内部の温度を測るために、肛門から体温計をいれて測定します。

④視診

犬や猫を目で見て病気が隠れていないか探していきます。
(例)毛や皮膚の状態、目の状態、口の中の状態、歩き方など

⑤聴診

体から発せられる音を聴き分けて健康状態を確認する診察方法です。心臓の鼓動や呼吸音などを聴くことで、体の状態を詳しく確認します。

⑥検査

上記の結果を踏まえつつ、以下の検査を組み合わせて病気を診断します。

<血液検査>

貧血や炎症の有無、腎臓や肝臓の機能などを調べます。
(例)感染による炎症、腎臓病、糖尿病、肝機能低下

<尿検査>

尿検査用のスティックを用いて尿の状態を確認し、結石や血液が含まれていないかを顕微鏡で確認します。
(例)膀胱結石、膀胱炎、糖尿病

<便検査>

実際の糞便を顕微鏡で確認し、感染症や出血がないかを確認します。
(例)寄生虫感染

<レントゲン検査>

レントゲン写真を撮影し、胸部と腹部の内臓に異常がないか、骨に異常がないかを確認します。
(例)腎臓や膀胱結石、関節の炎症、肺炎、腫瘍

<エコー検査>

超音波検査を用いて、血液の流れや臓器の形、動きなど、レントゲン検査だけでは確認することができない臓器の状態をチェックします。
(例)腎臓や膀胱の結石

健康診断の頻度と時期

一般的に、健康診断は年に1回が推奨されていますが、高齢(7歳以上)の犬や猫では半年に1回が望ましいです。また、季節ごとの体調の変化も考慮して検査を受けることが大切です。

【年齢によるお勧めの検査項目】
<7歳以下の場合>

血液検査、便検査、尿検査、レントゲン検査

<7歳以上の場合>

血液検査、便検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査

【季節ごとに気をつけたいポイント】
<春の場合>

犬はフィラリア検査で採血するため、同時に詳しい血液検査を行うのがお勧めです。

<夏の場合>

暑さと湿気によって、外耳炎や皮膚トラブルが増えやすいです。痒みや赤みがある場合には獣医師に相談しましょう。

<冬の場合>

寒さにより水分の摂取が減りやすい時期です。尿のトラブルが増えるため、尿検査をお勧めします。

定期的な健康診断は、病気を早期に発見し、適切な治療を受けるために欠かせません。早期発見と早期治療には、次のようなメリットがあります。

・症状が軽いうちに治療を開始できる
・食欲がある場合は飲み薬を与えやすい
・病気の進行を遅らせることができる
・治療の選択肢が増える

一方で、発見が遅れて病状が悪化してしまうと、入院での緊急治療が必要になることや、最悪の場合、命に関わる危険性もあります。言葉で症状を伝えられない犬や猫だからこそ、定期的に健康診断を受けて早期に異常を見つけてあげることが大切です。

まとめ

犬や猫は人間の約4倍の速さで年を取ります。そのため、愛犬や愛猫が少しでも長く健康で幸せな毎日を送るためには、病気の早期発見と早期治療が重要です。大切な家族の一員である愛犬や愛猫だからこそ、定期的に動物病院で健康診断を受けることをお勧めします。

 

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