獣医師コラム Column

【獣医師監修】犬や猫の歯石除去って本当に必要?|費用や注意点を徹底解説!

犬や猫の飼い主様がよく抱えるお悩みの一つに、歯石の問題があります。歯石除去は基本的に麻酔下で行われるため、実施に不安を感じたり、本当に必要なのか迷われたりする方も多いです。しかし、歯石はさまざまな病気を引き起こす原因となるため、そのメリットとデメリットを十分に理解した上で、治療を検討することが大切です。

今回は当院での犬や猫の歯石除去について、費用や注意点などをご紹介します。

■目次
1.歯石除去(スケーリング)とは?
2.スケーリングのメリット・デメリットについて
3.スケーリングの手順と麻酔の必要性
4.スケーリングにかかる費用の内訳
5.ご家庭でできる歯のケアと専門的なケアの違い
6.よくある質問と回答
7.まとめ

歯石除去(スケーリング)とは?

スケーリングとは専用の器具を用いて歯石を取り除く処置のことです。歯石は歯ブラシなどの自宅ケアでは取れないため、病院での専門的処置が必要です。

スケーリングのメリット・デメリットについて

スケーリングのメリットは第一に歯石がなくなることで口内が衛生的になり、歯周病や歯肉炎の改善に繋がることです。スケーリングを行わないと、歯周病が進行し、口の痛みで食欲が低下する、口内の細菌が全身に広がって心臓病や腎臓病・肝臓病・肺炎・鼻炎などを引き起こすリスクがあります。デメリットとしては、全身麻酔が必要となる点が挙げられます。

スケーリングの手順と麻酔の必要性

前述したように、スケーリングを行う際は麻酔が必要です。スケーリング中は犬や猫が口を開けてじっとしていることは困難なため、無麻酔で処置を行うことは口内を傷つける恐れがあります。稀に無麻酔で歯石除去を行う施設はありますが、肝心な歯周ポケット内の歯石が取れない、ポリッシング(歯の仕上げ磨き)を行うことができないため、歯石が再びつきやすくなる可能性があります。

スケーリングを行う手順としては、まず麻酔をかけ、スケーラーという機械で歯石を綺麗に取り除きます。その後、ポリッシングを行い歯の表面を滑らかにして終了です。

当院では、麻酔科の専門医を定期的にお招きしています。そのため、愛犬や愛猫の歯周病リスクが高い場合は、事前にご相談いただくことが可能です。

スケーリングにかかる費用の内訳

スケーリングに必要な費用を項目別にご紹介します。いずれも目安となり、症例によって多少異なります。

<術前検査(麻酔リスクの評価に必要です)>

・血液検査:8,000円
・胸部レントゲン:6,000~8,000円
・歯科レントゲン:5,000~8,000円(猫:5,000円、犬:6,000~8,000円 犬の場合は口の大きさによって費用は変動します)

※胸部・歯科レントゲンは高齢の子や持病がある子に行います。また歯科レントゲンにより抜歯の必要性を判断できます。

・麻酔:8,000~12,000円
・スケーリング:5,000円
・ポリッシング:1,000円

抜歯を行った場合は、上記に抜歯費用が加算されます。料金は程度により異なるため、別途相談となります。

ご家庭でできる歯のケアと専門的なケアの違い

歯石を予防するためには、日々の歯磨きが欠かせません。しかし、犬や猫の歯磨きは簡単ではなく、どうしても限界があります。そのため、定期的に動物病院で歯の状態をチェックし、スケーリングが必要かどうかを判断してもらいましょう。

また当院にはデンタルグッズの取り揃えもあるため、ケアを始めたい方はご相談ください。

よくある質問と回答

Q:歯石除去の頻度は?

愛犬や愛猫の歯石の付きやすさや年齢、全身状態により異なります。そのため、どのくらいのペースで行うべきか、獣医師と相談しましょう。

Q:保険は使える?

基本的には、歯石による歯肉の炎症などの症状があれば保険が適用される場合がありますが、加入している保険によって条件が異なります。そのため、契約内容を確認することが確実です。

まとめ

歯石は見た目や口臭だけでなく、食欲の低下や全身の健康状態にも影響を与える重要な問題です。そのため、愛犬や愛猫の歯に着色が見られたり、口の臭いが気になったりする場合は、早めに動物病院を受診することを推奨します。

 

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